鞄を持ち替えるのを、
やめたかった。
Xiphos は、既存のバックパックにできることが限られていたから始まった。装いやブランドの物語のためではなく、毎日の持ち物という具体的な不便から出発している。
はじまり
用途ごとに鞄を持ち替えていた。
仕事にはPCと書類が入る鞄。ジムにはシューズとウェアが入る鞄。ゴルフに行くならまた別の鞄。用途が変わるたびに鞄を替え、そのたびに中身を移し替える。朝に一つ、夜にもう一つ持って家を出る日もある。
不便なのは荷造りだけではなかった。鞄に入らないという理由で、仕事帰りにジムへ寄るのをやめる。荷物が増えるからと、予定を一つ削る。鞄の制約が、そのまま行動の制約になっていた。
私たちはそれを当たり前として受け入れたくなかった。

ほしかったのは、選択肢を増やす鞄ではなく、選ばなくていい鞄だった。
一つで済ませる
仕事にもスポーツにも、同じ一つで。
目指したのは、一日のうちに役割が変わっても持ち替えなくていい鞄だった。朝は会議に、夜はジムに、翌日は出張に。同じ一つで足りること。
そのためにバックパック MK-I は収納を分けた。PC室に仕事道具を入れたまま、メイン室にシューズとウェアを入れられる。汗をかいたものと書類が同じ空間で混ざらない。荷物の少ない日のためにミニバッグ MK-I を作り、持ち方を五通りに変えられるようにした。
鞄を増やすためではなく、減らすために二型を作っている。

機能のこと
見た目だけの鞄は、すでに足りている。
形の良い鞄は世の中に十分ある。私たちが作りたかったのは、見た目に加えて機能を備えた道具だった。
17インチまでのPCが入る。底面に緩衝材を入れてある。生地は撥水加工の上に防水層を重ねた二重構造。ジッパーは止水式で、南京錠を通せる穴がある。ミニバッグには外側と内側を貫通する通気口を設け、使ったあとのシューズを入れても湿気がこもらないようにした。
どれも見栄えのために付けた仕様ではない。実際に困ったことに対して、一つずつ答えを用意した結果である。

数シーズンで買い替える前提のものは、作らない。
長く使うこと
ずっと使い続けられるものを。
私たちが作りたいのは、流行が変わったら役目を終える鞄ではない。何年も使い続けられ、その間ずっと持ち主の行動を支えるものだ。
道具が長く使えるということは、その人が長く同じことを続けられるということでもある。仕事を続ける。体を鍛え続ける。移動し続ける。長い目で見て、持ち主が何かを成し遂げるために役に立つこと。そこに向けて作っている。
安全に運ぶ
移動しているあいだ、荷物は無防備になる。
雨に降られる。床に置いた衝撃で中身が傷む。人混みで気づかないうちに開けられる。移動中に荷物が受ける危険は、鞄の側で減らせるものが多い。
だから二重の耐水構造を入れ、底面に緩衝材を入れ、南京錠を通せる止水ジッパーにした。キャリーオンベルトの上にはパスポートと鍵をしまうポケットを付けた。安心して運べることを、機能の一部として設計している。

仕事
名前について
Xiphos は、古代ギリシャで使われた両刃の剣を指す。刃が両側にあるため、構えを変えずに二方向へ斬ることができた。ひとつのことだけを極めることが美徳とされた時代は、すでに過ぎた。
仕事の外
両方の刃を鈍らせない。
いまは複数の場所で力を発揮することが求められている。仕事でも、その外でも。私たちが作っているのは、その両方を支えるための道具だ。持ち替えずに済むこと。それがこのブランドの全部である。